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持ち戻し免除

持ち戻し免除とは
共同相続人の中に特別受益を受けたものがあった場合には、相続財産にその特別受益の金額を加えたものを相続財産とみなしたうえで、分割します。
これを持ち戻しといいますが、被相続人が持ち戻しを免除する意思表示をした場合を指します。

 

この意思表示に特別の方式は必要ないのですが、生前贈与において、持ち戻し免除の意思表示が黙示的にあったのかどうかが争点となることが多いです。
贈与の内容、価額、贈与の動機、被相続人と受贈者との関係、被相続人と相続人の経済状態、他の相続人との関係や他の相続人が受けた贈与の内容・科学等を総合的に考慮することで、黙示的に持ち戻し免除の意思表示があったかどうかが判断されることとなります。

 

持ち戻し免除の意思表示がなされたとしても、遺留分算定に当たっては、遺留分算定の基礎となる相続財産額に算入します(最一小決平成24年1月26日)。

 

生前贈与が特別受益に該当する場合遺留分算定はどうなるか

相続人に生前贈与した場合

 

生前贈与の相手が相続人の場合、特別受益(903条)に該当する場合は、遺留分の算定の基礎となる(最三小判平成10年3月24日)。
この場合、相続法改正前は、生前贈与の時期に関係なく、遺留分の算定の基礎となっていました。
しかし、相続法改正により、相続人に対する贈与については、原則として、特別受益に該当する贈与で、かつ、相続開始前の10年間にしたものに限り遺留分の算定の基礎に加えられます。
なお、当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与された場合は、10年以上前でも算定の基礎に加えられます(1044V)。

【最高裁平成10年3月24日第三小法廷判決・民集52巻2号433頁】
 民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、右贈与が相続開始よりも相当以前にされたものであって、その後の時の経過に伴う社会経済事情や相続人など関係人の個人的事情の変化をも考慮するとき、減殺請求を認めることが右相続人に酷であるなどの特段の事情のない限り、民法1030条の定める要件を満たさないものであっても、遺留分減殺の対象となるものと解するのが相当である。けだし、民法903条1項の定める相続人に対する贈与は、すべて民法1044条、903条の規定により遺留分算定の基礎となる財産に含まれるところ、右贈与のうち民法1030条の定める要件を満たさないものが遺留分減殺の対象とならないとすると、遺留分を侵害された相続人が存在するにもかかわらず、減殺の対象となるべき遺贈、贈与がないために右の者が遺留分相当額を確保できないことが起こり得るが、このことは遺留分制度の趣旨を没却するものというべきであるからである。

馬場総合法律事務所
弁護士 馬場充俊
〒604-0931 
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