別居後の自宅への立ち入り
婚姻が破綻した関係にある妻が居住する夫名義の自宅への立ち入りにつき住居侵入罪の成立が認められるか
東京高等裁判所判決 昭和57年(う)第1559号 住居侵入被告事件 昭和58年1月20日によりますと、「両名共に離婚の意志は決定的となり、婚姻関係は破綻し、将来再び同居する可能性のない状態に立ち至っていたのであり、しかして、その後もその破綻の度を深めつつ推移して被告人ら夫婦が別居を始めてから約2年6か月、同居の可能性が潰えてから約1年5カ月をそれぞれ経過後の本件当夜に至り、被告人において・・・たまたま持ち合わせていた合鍵を使用し玄関入口の施錠を開け、意思に反してその住居内に立ち入ったものであって、被告人の所為が社会的相当性を欠くものであることは極めて明らかと言うべきである。」とし、「妻の不貞行為を現認しようとした目的」を「達成するための唯一の方法であるかどうかにかかわらず、やむをえない行為とは認められないから、期待可能性が無いものとはいえず・・・可罰的違法性を欠くものとは到底認められず」とし、住居侵入罪の成立を認めました。