死因贈与契約と遺言のちがい

死因贈与契約と遺言のちがい

遺贈(遺言)との違い

遺言の中で、不動産を誰が相続するか定めていたり、遺贈したりする内容が書かれていたとしても、それを遺言者の存命中には、あらかじめ登記しておくことができません
しかし、死因贈与契約を締結しておけば、始期付き所有権移転仮登記が可能になります。
これは、現段階では所有権を移さないものの、被相続人にもしものことがあれば所有権が移転するという仮の登記です。これをしておけば、被相続人が第三者に売却することは事実上困難になります。
この仮登記は、基本的には贈与者と受贈者の共同で申請しますが、死因贈与契約を公正証書にしておくと登記の承諾条項が盛り込まれるため、受贈者が単独で登記申請可能となります。
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税におけるデメリット

死因贈与契約で不動産を取得した場合は、遺言による場合と異なり、受贈者が贈与者の相続人であっても不動産取得税がかかるほか、登記の際の登録免許税も高い(固定資産税評価額の2%)こととなります。
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死因贈与契約書は公正証書にしておく

公正証書によらない場合は、相続発生後の登記手続(本登記)において、贈与者の相続人全員の協力が必要となりますし、コストの問題も発生します。
なぜなら、死因贈与契約書が私署証書である場合は、その効力発生時には贈与者が死亡していているため、契約が真正なものであるのか判明しませんので、私署証書の死因贈与契約書を添付して死因贈与執行者によって所有権移転登記を申請する場合には、死因贈与者の印鑑証明書を添付する必要があり、それが無理ならばその相続人全員の印鑑証明書を付した承諾書を添付する扱いとなります
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仮登記の手続について

死因贈与契約書が公正証書により作成されており、仮登記義務者が所有権移転の仮登記を申請することを認諾している旨の記載があるときは、仮登記登記権利者が単独で仮登記の申請をすることができます。この場合には、仮登記義務者の印鑑証明書の添付は不要です。
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本登記の手続について

公正証書にて執行者の指定がある場合を前提としたまとめです。
受贈者と、執行者との共同申請となります。

@登記原因証明情報(契約書、贈与者の死亡を証する戸籍謄本等。)
A登記識別情報
B執行者の権限証明(公正証書のこと。)および印鑑証明書
C受贈者の住所証明情報(住民票の写し)

なお、登記原因証明情報の一環として添付される印鑑証明書について3カ月の期間制限はない(登記研究566P131)。
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死因贈与契約書(サンプル)

死因贈与契約書
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贈与者  (以下「甲」という。)と受贈者  (以下「乙」という。)は、次のとおり死因贈与契約を締結する。
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第1条  甲は、甲の所有する下記記載の各不動産を乙に対し無償で贈与することを約し、乙はこれを受諾した。
・・・
第2条??? 本件贈与は甲の死亡を停止条件として効力を生じ、かつ贈与物件の所有権は当然受贈者に移転する。
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第3条  甲および乙は、本件不動産について、乙のために始期付所有権移転仮登記をするものとする。甲は、乙が上記仮登記申請手続をすることを承諾した。
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第4条  前条の手続きに係る費用は乙が負担する。
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第5条  甲は下記の者を死因贈与の執行者に指定する。
     住所 
     氏名 

 

 以上のとおり、契約が成立したので、本契約書を2通作成し、各自署名押印の上、各1通を保有する。
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平成  年  月  日
住所 
氏名(贈与者:甲)               印
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住所 
氏名(受贈者:乙)               印

馬場総合法律事務所
弁護士 馬場充俊
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