協議事項

協議事項

事故時には症状がなかったものの、数か月後に症状が発現し、かつ、事故以外に原因が見当たらない場合、事故との因果関係の有無をどのように判断されるのか、その際にどういった事情が考慮されるのか。

事故前後の症状を比較して、事故前になかった症状が事故後に生じたという事実は、事故との因果関係を示す一つの間接事実である他方で、因果関係を認めるには、その事実だけでは不十分ではないかと思われる。
因果関係を認めるためには、傷害と事故との関連、受傷機転が説明できること、当該傷害と症状との関連が医学的に説明できること、かつ、受傷後ただちに症状がなかったという点に関して、その理由が合理的に説明できることが必要と思われる。
交通外傷の場合、交通事故の外力によって人体の組織が傷害されて、痛みが発現するという経過をたどることから、一般的には事故の直後から一、二週間程度以内に発現するというのが一般的ではないかと思われる。そのため、その期間を経過してから発現した場合には、受傷後ただちに症状が発現しなかったという理由について、合理的な理由の説明がなければ、因果関係がないということになるのではないかと思われる。

 

 

逸失利益における「将来、平均賃金程度の収入を得られる蓋然性」の判断要素について

事業所得者に関しては、原則として事故前の申告所得額を採用する。ただし、申告所得額が平均賃金より低額であっても、その被害者が若年である場合には、事故時の職業、事故前の職歴と稼働状況、現実収入の金額、平均賃金との乖離の程度、及び乖離の原因等を総合的に考慮して、将来的に障害を通じて全年齢平均賃金又は学歴別平均賃金程度の収入を得られる蓋然性が認められる場合には、賃金センサスに基づき、その被害者の属する姓の全年齢平均賃金を基礎収入として採用することができる。

 

どのような場合にギブス固定期間を入院期間とみるか

入院慰謝料は通院慰謝料に比べて高いため、どちらを当てはめるのかが大事になる。入院慰謝料がなぜ高いのかということを考え、入院と同程度と言えるかを考えると、固定されている部位・程度、(入院している場合日常生活からは乖離されるわけだから)日常生活の制限度合い、傷害内部と言った事情を見て、入院生活と同程度と言えるかを検討する。例えば、小指の入院期間とみることはできないし、通園・通勤も普通にできているということであれば入院していることと同じとは考えにくい。ギプスの固定がされていて日常生活が制限されて自宅で安静にしていて、その苦痛の程度が入院と同程度であるということが最終的には要求されると考える。これとは逆に、ギプス固定をしている場合は、その間は通院回数も少なくなるため、慰謝料金額が低くなってしまわないか、という問題があるようにも思われる。ただ通常、骨折の場合にギプスをしていれば、それを通院期間として考慮することがあると思うので、通院回数ではなくて通院機関としてみれば相応の金額になることも多い。そこで最終的な調整ははかられている。

 

物損軽微事故における人損損害の認定について

治療費については必要かつ相当な実費について損害として認められるものと考えているので、支出した治療費全てが損害として認められるわけではない。他方、通常は医師は不必要・不相当な治療はしないと考えられる。特に受傷直後から道得る意思の判断については、カルテ上、診療経過に特段不自然な悔過が見られない場合には尊重されることが多い。それを前提に、事故による衝撃の程度を踏まえたうえで、障害及び症状の内容(神経症状のみなのか)、症状の推移、治療による改善の有無、治療処置の内容(治療そのものなのか、対症療法的なものなのか)、治療内容の変化を見ていく。又治療経過として通院頻度の変化や治療中断の有無、検査結果8多角的所見の有無)、そのたとうがいしょうじょうにおいて治療に要する通常の期間はどの程度なのか、既往症の有無を総合的に判断して本件事故ととの間で必要かつ相当な実費を判断していくことになる。ただ、衝撃の程度が極めて軽度にもかかわらず極めて長期間通院している場合は必要かつ相当な範囲に限定されることもある。

 

多角的所見のない神経症状について症状固定日に争いがある場合

基本的には事案ごとの判断になるが、特に異なる医師の意見がなく、カルテ上診療経過に特段不自然な悔過がない場合には、やはり石野藩d難を尊重することになると思われる。要素としては、障害及び傷害の内容や、症状の推移、治療処置の内容、治療経過、検査結果、当該書上について症状固定における通常の期間や既往症の有無、交通事故の状況8衝撃の程度)などを総合して判断していく

 

変形障害の場合の逸失利益

高い等級の認められる高度の変形障害については、等級通りの喪失率をそのまま認めるのが相当なことが多いと考えるが、一方で、変形が視覚的軽度である場合医は、被害者の職業や現実の減収の有無、神経症状をはじめとする症状の有無や内容を考慮して、労働能力への影響をより小さいと判断することはありうる。また、特に若年者の場合で、脊柱変形はあるが体幹の支持性、運動性の低下の程度が軽微であると言ったケースでは、喪失率を期間ごとに逓減するといった判断もありうる。

馬場総合法律事務所
弁護士 馬場充俊
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