財産開示手続き(2020年改正)
民事執行法の2020年の改正により財産開示手続きの使い勝手がよくなりました。概要をご説明いたします。

財産開示手続き(2020年改正のポイント)

財産開示手続きは、債権者が債務者の財産に関する情報を取得するための手続きであり、債務者が財産開示期日に裁判所に出頭し、債務者の財産状況を陳述する手続きです。そして、債権者は陳述によって知り得た債務者の財産に対して強制執行をかけます。
申立て手数料(印紙額)は2000円で、予納郵券は6000円です。債務名義が必要です。
また、執行開始要件(①債務者に当該債務名義の正本又は謄本が送達されていること、②条件成就執行文又は承継執行文が付与された場合は、同執行文の謄本及び証明文書の謄本が送達されていること、③請求が確定期限の到来にかかる場合は、その期限が到来していること等)を備えている必要があります。改正により、仮執行宣言付き判決や執行証書、確定判決と同一の効力を有する支払督促でも申立てができるようになりました。
また、一般の先取特権を有する債権者も申立できます。
さて、2020年の改正により罰則が強化されました。つまり、無視して出頭しなかったり、嘘をついた場合、6か月以上の懲役刑または50万円の罰金となりました(これまでは30万円以下の過料という行政罰でした。)。つまり、刑事罰なので前科がつきます。
第三者からの情報取得手続きというものも設けられました。裁判所が金融機関や関係行政機関等に問い合わせて、債務者の預貯金、不動産、給与債権などに関する情報の開示を求めることができるようになりました。
しかし、破産手続開始決定などが債務者においてなされている場合は、財産開示手続きは利用できません。
強制執行ができなかったことを疎明する必要があります。「知れている財産に対する強制執行を行っても金銭債権の完全な弁済を受けられない」場合(民事執行法197条1項2号および2項2号)は、財産調査結果報告書に記載される資料の提出が必要です。

馬場総合法律事務所

弁護士 馬場充俊

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