【法律落とし穴】『遺言書について注意すべきことA』

【法律落とし穴】『遺言書について注意すべきことA』

●相談前

父が遺言ですべての借金(金銭債務)を兄に相続させると書くつもりだと言っています。この場合、弟である私は借金を相続しないですよね?

 

?●相談後

遺言に書いてある通りだと思われる方も多いと思います。しかし、このような内容の遺言は相続債権者にそのまま効力を及ぼすことはできず、弟であるあなたに法定相続分の請求があり、拒否できないことになります。
理由を説明しましょう。
判例(大審院昭和5年12月4日決定・最判昭和34年6月19日判決・東京高裁昭和37年4月13日決定)では、遺産分割の対象は積極財産だけであり、消極財産である金銭債務(借金)は、相続開始と同時に共同相続人に相続分に応じて当然分割承継され、遺産分割によって分配されるものではないとされています。
最判平成21年3月24日判決は、相続人の一人に財産全部を相続させる遺言がなされた場合、特段の事情がない限り、相続人間では当該相続人が相続債務もすべて承継すると判断しましたが、上記遺言による相続分指定は相続関係者にはその効力が及ばないとも判断しています。
では、どうするべきなのか?父の生前の意思を尊重し、兄がすべての借金を返済すべきではないでしょうか?遺言内容に従って、相続債権者と交渉をし、特定の相続人(兄)が金銭債務を承継する債務引受契約を締結する方向にあなたとすれば行動すべきでしょう。
父が亡くなる前に、父に債権者と事前に相談するように促し、相続開始後の債務負担や債務引受契約の申し入れ等に理解をあらかじめ求めておくことも検討すべきではないでしょうか。

馬場総合法律事務所
弁護士 馬場充俊
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