生活費控除 年金部分
年金部分についての生活費控除率は、通常より高くする例が多いです。
・老齢厚生返金、老齢国民年金及び遺族厚生年金を受給していた無職者・75歳・女性につき、生活費は逸失利益性を有しない遺族厚生年金のみで賄うことが可能であったとして、逸失利益性を有する老齢厚生年金及び老齢国民年金の受給合計額に対しては生活費控除を行わないとした
・主婦・64歳につき、受給していた特別支給老齢厚生年金以外に、死亡4か月後に給付が開始される予定の老齢基礎年金及び老齢厚生年金の合計62万円余りの逸失利益性を認め、同居の三男が542万円余りの年収を得ており、被害者も不動産賃料収入を得ていたことから、平均余命期間につき生活費控除率を30%とした。
家事労働をしながら年金を得ているケース
・主婦(70歳)につき、家事労働分は、賃金センサス女性学歴計70歳以上平均を基礎に生活費控除率を30%、年金収入部分は、年金額年123万余を基礎に、年金が生活保障を目的としていることに鑑み、生活費控除率を40%とした(名古屋地判平成26.10.31)。
・年金を受給し長男夫婦と同居する女性(68歳)につき、家事労働については、平均余命の2分の1、賃金センサス女性学歴計65歳以上平均の50%を基礎に生活費控除率30%、年金については平均余命の20年間、生活費控除率50%で認めた(横浜地判平成18.1.23)。