障害保険金請求訴訟について
傷害保険契約とは、被保険者等が急激かつ偶然な外来の出来事によりその身体に損傷を受けた場合、その結果(死亡、後遺障害、入院等)に対して、保険者が保険金を支払うことを内容とする保険契約をいう。
約款上、保険金支払義務を基礎づける事実(保険事故)を「急激かつ偶然な外来の事故」による傷害とする。被保険者等の故意によって生じた傷害は保険金が支払われないが、重過失については、生命保険会社扱いの傷害特約では免責事由とされているのに対し、損害保険会社扱いの傷害保険では、一部の自動車保険(「極めて重大な過失」)を除き、免責事由から除外されている。
最二小判平13.4.20民集55巻3号682頁は、偶発性の立証責任を保険金請求者側にあるとしたが、被保険者等が外形的にみて事故であることを立証すれば事故の偶発性が事実上推定されることの手法は、事故の偶発性の審理の在り方についての一つの方向性を示したリーディングケースとなった。
以下では、偶発性を基礎づける間接事実として検討された要素を挙げる。
ア事故の客観的状況
・衝突直前のブレーキ痕の有無(急制動措置を採ったか否か)
・アクセル操作(アクセルを踏み込んだか否か)
・当該事故現場を自殺場所として選択したことの合理性
イ被保険者の動機、属性等(経済状況、疾病・精神状態、家庭状況)
・・・逆に、新たな仕事が決まっていたとか、債務整理を弁護士に委任していたか