食料品に異物が混入していたため怪我をした件
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購入した食料品に異物が混入していたため怪我をした件

購入した食料品を食べていると異物が混入していたために歯を欠損したり、喉を切ったりと怪我をした、といったようなケースが考えられます。
そのような場合、製造業者に損害賠償を求めることができるのでしょうか?判例検索をしてみましたところ、2件ヒットしましたので、簡単に紹介したいと思います。

 

東京高判令和2年1月15日

ベーコンビッツ(ベーコンをこま切れにした材料)とトマト・レタスを巻いた惣菜パンを食べていたところ骨片が混入していたため歯を欠損した事例でした。
パッケージに骨片があるから気を付けるように注意記載がなかったことから製造物責任法2条2項の欠陥(指示・警告上の欠陥)に当たるかどうかが争点となっております。
地裁はこの点認めたようですが、高裁は翻って認めませんでした。
まずは、条文を確認してみます。
製造物責任法2条2項は、「この法律において「欠陥」とは、当該製造物の特性、その通常予見される使用形態、その製造業者等が当該製造物を引き渡した時期その他の当該製造物に係る事情を考慮して、当該製造物が通常有すべき安全性を欠いていることをいう。」と規定し、欠陥の定義を定めています。
製造物責任法3条本文は、「製造業者等は、その製造、加工、輸入又は前条第3項第2号若しくは第3号の氏名等の表示をした製造物であって、その引き渡したものの欠陥により他人の生命、身体又は財産を侵害したときは、これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる。」と規定し、欠陥責任の原則によることを明らかにしています。
平成26年10月29日東京高判が、「製造物責任法第2条2項にいう「欠陥」には、設計上の欠陥及び製造上の欠陥のみならず、製造物の危険性の内容・程度及び被害発生を防止するための適切な運搬、保管方法等の取扱上の注意事項を適切に表示し、かつ警告することを怠る場合(表示・警告の欠陥)も含むということができる」と判断しています。
裁判例では、商品の特性をみると見た目から具材としてベーコンビッツを使っていることは明らかであり、骨片が残存している可能性は気づけるだろう、またそんなに強い力で咀嚼して食べるものでもないから歯を欠損することは通常ではないだろう、骨片が入っていることの警告がなくても命に危険があるとまではいえないし記載スペースに限りはある、記載したとしてもそこまで確認する消費者は限定的だろうという判断から、欠陥があるとは認めませんでした。

 

次に名古屋地裁平成11年6月30日を紹介します。

こちらはファストフード店で購入したジュースの中にガラス片のようなものが混入していたため吐血したという事例でした、が、ガラス片のようなものは主張のみで発見された証拠はなかったようです。
しかし、前後の事実経過から異物が混入していたこと自体は裁判所は認めています。そして、ジュースが通常有すべき安全性を欠いていたとして欠陥があると認めています。
慰謝料としては5万円、弁護士費用として5万円が認容されております。
食品事故における異物混入の場合等には、被害者は、必ずしも混入した異物が何かということの特定まで立証することは求められないことが分かる裁判例でした。

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