残業代請求で訴えられたら
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残業代請求で訴えられたら

付加金

労働基準法第114条(付加金の支払):裁判所は、第二十条、第二十六条若しくは第三十七条の規定に違反した使用者又は第三十九条第七項の規定による賃金を支払わなかつた使用者に対して、労働者の請求により、これらの規定により使用者が支払わなければならない金額についての未払金のほか、これと同一額の付加金の支払を命ずることができる。ただし、この請求は、違反のあった時から二年以内にしなければならない。

付加金を獲得するためには、労働審判の決定ではなく、訴訟を起こして確定判決を得る必要があります。しかし、和解になるケースも多いため、確定判決に至ることは決して多くはありません。
判決に至ったとしても、裁判所には会社に対して付加金の支払を命じる義務はありません。法律上では、付加金の支払を「命じることができる」との表現にとどまっています。そのため、労働審判では命じられることはまずありません。さらに、第1審で確定判決がでても、当事者のどちらかが控訴した場合、第2審の口頭弁論終結までに会社が未払いの賃金・残業代を清算すれば、付加金の支払いを免れると解釈されています。
平成26年3月6日「株式会社ホッタ晴信堂薬局事件」の判決でも、最高裁は「原審の口頭弁論が終わる前の時点で会社が」未払い残業代を完了して、支払い義務違反の状態を解消したのだから、裁判所はその未払い残業代にかかる付加金の支払いを命じることはできない」


遅延損害金

残業代については、在職中は「6%」、退職後は「14.6%」の「遅延損害金」がつきます。

厚生労働省の通達に「労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関する基準について」というものがあります(基発第339号 平成13年4月6日)。
「使用者には労働時間を適正に把握する責務がある」と定められています。

 

ピーエムコンサルタント事件

建築コンサルタント会社を退職した社員が今まで支払われていなかった残業代を労働者の作成した整理簿を根拠に請求した訴訟(大阪地判平成17年10月6日)

 

労働者のメモを根拠に、勤怠記録にない残業の存在が認められた事例
残業代を請求するためには証拠が必要ですがタイムカードなど公式の勤怠記録がありませんでした。しかし労働者が自ら作成した整理簿は「会社が確認していたこと、正確な作成を会社が求めていたこと、その内容について争っていなかったこと」を理由に認められました。
しかも、労働者の提出した整理簿で会社が残業の実態を知っていたことは黙示の残業命令があったものと認定されています。

要旨
◆一 土木設計等を行う会社において正社員として10年間勤務した後に、年俸制により処遇される契約社員となった者が退職後、同社に対して時間外勤務手当の支払を請求した事案につき、同人の残業については少なくとも黙示の時間外労働命令が存在したといえる上、会社と同人との間の契約社員労働契約書には、基本年俸には現場手当(残業手当)を含むとの条項があるが、その額は明らかにされておらず、年俸の中に残業手当が含まれていたともいえないとして、同人が作成しその上司も確認していた整理簿に基づいて算定した時間外勤務手当の請求及び付加金請求が認容された事例。
 二 一掲記の元従業員からの退職金請求が、同人が契約社員となった際に退職金が支払われていないことから、認容された事例。〔*〕

馬場総合法律事務所

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