同族会社・中小企業の法務トラブル
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株主総会不存在確認訴訟について

最高裁平成2年4月17日判決(民集44巻3号526頁、判時1354号151頁)というものがあります。取締役を選任する旨の株主総会の決議が不存在の場合、当該取締役によって構成される取締役会の招集通知に基づく取締役が選任された代表取締役が招集した株主総会においてなされた取締役選任決議は、いわゆる全員出席総会においてなされたなど特段の事情が無い限り、法律上不存在であるとした事案です。
全員出席総会においてなされたなどの特段の事情が無い限り法律上不存在とされました。
判例は、取締役選任決議に、一度不存在事由があると、その後、連鎖的に取締役の地位が否定されることになります。
小規模閉鎖会社における内部紛争の場合、本案審理の先決問題として株主総会決議の不存在確認を求めることも十分に考えられ、訴えの利益が認められるとされます。
決議不存在の状態の中では、取締役と称する者が対外的な取引行為を行うことから、これを表見法理(14条)や事実上の取締役の法理により別途第三者(14条では善意がその要件とされるため、株主が会社外の第三者とはならない可能性がある)保護を図ることは可能と思われるが、不存在という瑕疵の重大さに鑑みれば、単に救済措置を講ずるだけでは不十分ですので、会社における様々な紛争に応じて違法状態の是正を図る本筋として不存在確認請求が利用されるべきではないだろうか。
最高裁平成11年3月25日判決(民集53巻3号580頁、判時1672号136頁)は「取締役及び監査役を選任する株主総会決議が存在しないことの確認を求める訴訟の係属中に、後の株主総会決議が適法に行われ、新たに取締役等が選任されたときは、特別の事情のない限り、先の株主総会決議の不存在確認を求める訴えの利益は消滅すると解される。しかし、取締役を選任する先の株主総会の決議が存在するものとはいえない場合においては、その総会で選任されたと称する取締役によって構成される取締役会の招集決定に基づき右取締役会で選任された代表取締役が招集した後の株主総会において新たに取締役を選任する決議がされたとしても、その決議は、いわゆる全員出席総会においてされたなどの特段の事情が無い限り、法律上存在しないものと言わざるを得ず、その瑕疵が継続する限り、以後の株主総会において新たに取締役を選任することはできないこととなる。」「瑕疵が継続すると主張されている場合においては、後行決議の存否を決するためには先行決議の存否が先決問題となり、その判断とすることが不可欠である。先行決議と後行決議がこのような関係にある場合において、先行決議の不存在確認を求める訴えに後行決議の不存在確認を求める訴えが併合されているときは、後者について確認の利益があることはもとより、前者についても、民訴法145条1項の法意に照らし、当然に確認の利益が存するものとして、決議の存否の判断に既判力を及ぼし、紛争の根源を絶つことができるものと解すべきである。」
ほかに最高裁平成13年7月10日判決(金法1638号4頁)もあります。
先行決議が不存在となれば、ドミノ式に現在まで影響を及ぼす場合に確認の利益が認められることになります。これを瑕疵連鎖説といいます。

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