【相続】【不動産】地主なのですが空き家の処理に困っています
馬場総合法律事務所は、関西で土地を貸されているけども、建物が空き家になっており、これを取り壊したいというご相談を受け付けております。相続で次世代が困らないように早めに処理することをおすすめします。

貸している土地の賃借人死亡後の空き家はどうすればいいですか?

私は地主です。土地の賃借人は建物を建ててそこに居住していましたが、地代滞納のまま死亡し、現在は空き家となっています。賃借人には複数の相続人がいますがそこに住む気もないようです。空き家を放置するわけにはいきませんが、取り壊しをするためにはどうすればよいのでしょうか?また滞納していた地代も請求したいです。

全相続人との間で早急に賃貸借契約を合意解除し、合意解除後は建物の取り壊しを行い、その一カ月以内に滅失登記を行います。

 

賃借人が死亡した場合、賃借人の地位は相続によって承継されます。
賃借人の相続人が複数いる場合は、遺産分割協議が成立するまでは、相続人全員が賃借人の地位を共同で相続していることになります。
相続人が賃貸借契約の継続を希望しないときは、賃料の発生を止めるために、全相続人との間で早急に賃貸借契約を合意解除し、任意に対象不動産を明け渡してもらいます(合意解除の書面を取り交わします)。
任意に解除や明け渡しに協力してくれないときは、賃料不払いを理由に契約を解除し、明け渡しを求めていく裁判手続きとなりますが、時間も費用も掛かりますので、粘り強く合意解除の書面の判子を求めます。
合意解除後は建物の取り壊しを行い(取り壊し業者から取り壊し証明書の交付を受けます)、その一カ月以内に滅失登記を行います。
滅失登記には賃借人の各相続人から委任状を取り付け、土地家屋調査士に依頼することになります(費用は約5万円が多いです。)。
賃料の支払義務については、賃借人が死亡した時点ですでに発生している賃料債務については、単純な金銭債務として相続され、法定相続割合で分割して相続されます。これに対して、賃借人が死亡した後に発生する賃料債務については、相続人全員が全額の支払い義務を負います(不可分債務)。

 


 

建物の相続人全員から同意を得られない場合はどうなりますか?

強制執行をしなければなりません。全員に対して訴訟をして判決を得る必要性があります。

上記のケースで相続人全員から同意書を集められたらよいのですが、場合によっては行方不明者がいて同意書を取得できないという例も考えられます。
この場合は、代替執行を行うために授権決定を得て、執行官に執行を申し立てることになるでしょう。執行官への申立の管轄はその不動産の所在地になりますので注意が必要です。
また、空き家の相続登記は未登記ですから、それぞれの相続人に共有持分権があることになりますので、全員に対して判決(債務名義)を取得しないと強制執行できません。
確かに、建物収去土地明渡訴訟の段階では、同意書をもらえなかった相続人に対して訴訟をすることはできるのですが、そうしてしまうと強制執行ができないのが法律の理屈です。

地代滞納を理由とした建物収去土地明渡請求

私は地主です。賃借人が生きていますが、地代の滞納が続いており請求しても応じてもらえません。どうすればよいでしょうか?賃借人所有の建物には抵当権の登記もされていますし、建物賃借人もいるようです。

抵当権者や建物賃借人も含めて賃貸借契約の合意解除を目指します。合意に至らなかった場合は訴訟を提起し、代替執行及び土地明渡の強制執行を申し立てます。

 

任意の交渉

催告(兼契約解除通知)書を賃借人に送りますが、建物の取り壊しを求める文面を入れることもできます。
契約解除の合意に応じてもらえる場合は合意書を交わします。この時に建物の解体について合意します。または、建物の譲渡を受けることを合意することも可能です(司法書士に依頼する登記手続費用が別途かかります。)。
建物賃借人にも土地賃貸借契約の解除を通知し、建物の明け渡しを求めます。
借地上の建物に抵当権がついている場合、抵当権者(金融機関)に契約解除を通知します。
金融機関にとって担保物件である建物の底地賃借権の帰趨には重大な関心がありますので、あらかじめ賃貸人との間で、土地賃貸借契約について、解除事由が発生した場合や、解除通知を送付した場合には、金融機関にその旨通知することを約定するケースがあります。実際にも、借地上の建物は、金融機関の担保となっているわけですから、その担保価値を維持するために、金融機関からの代位弁済を受け、滞納賃料を回収できる可能性があります。

 

訴訟提起

上記のように任意の建物収去土地明渡に応じてもらえない場合は、訴訟を提起します。訴訟上の和解が成立する場合もあります。しかし、和解ができない場合は判決をもらい建物収去の代替執行・土地明渡の強制執行を申し立てる流れとなります。

 

代替執行

土地上に建物が存在する場合に、建物を収去して土地を明け渡す強制執行を申し立てるときの手続です。

①現況調査

まず、申立前や明渡催告の前後を通じて、建物の登記を確認します。もし、判決以後、建物の名義が変更していれば、承継執行分の付与を受ける必要があります。
強制執行の申立後、債権者は、執行官から、債務者の占有状況や明渡しの実現見込み等について情報提供を求められることがあり(民執規154の2⑤)、執行の申立前に、目的不動産の占有者が誰であるか、実際に現地に赴き、調査しておくことが必須となります。

②建物収去命令の申立

債権者(土地所有者)は、裁判所に対して「建物収去命令の申立て」を行い、執行官を指定して、債務者の費用をもって建物収去できる旨の「授権決定」を得ます。

③代替執行費用支払申立て

建物収去命令申立てと同時に、あらかじめ、建物収去に要する費用を業者に見積もってもらい、その見積書を添付して、代替執行に必要な費用を債務者が債権者に支払うよう命じる内容の「代替執行費用支払申立書」を執行裁判所に提出します。執行裁判所は、債務者を呼び出して審尋するか書面で意見をききます。
その後、土地明渡の執行申立を行っていきます。

 

裁判所HPはこちら

 

執行費用について

1 予納金
執行官に納付する予納金は、建物収去土地明渡の場合約8万円です(裁判所によって変動あり)。また執行補助者(施錠技術士・立会証人等)の費用・明渡催告の費用は、別途必要です。
2 目的外動産の保管に関する費用
3 代替執行の際の建物取壊費用
現場の状況により異なり、見積を依頼しておく必要があります。
4 各種申立の際の印紙・郵券代等

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