耐震基準の満たない木造家屋の立退き請求
耐震基準を満たさない建物の賃借人への立ち退き請求について「正当理由」は認められますか。
1981年(昭和56年)6月1日の改正建築基準法の施行以前の建物は耐震強度が不十分(震度6強以上の震度の地震で倒壊する恐れがあると言われています。
現在の耐震強度を満たす建物への立て替えを理由に、賃借人に退去してもらうことができるのでしょうか。
現在の建築基準法の耐震基準は、一般的には「震度6強以上の震度」の地震が起こっても安全な建物の基準と言われています。その「震度6強以上の震度」の地震で倒壊する危険があるかどうかの耐震検査(耐震診断)を行います。
木造建物の場合は、上部構造評点を計測し、1.0未満だと震度6で倒壊の恐れがあるということになります。この耐震検査にはどういう場合に倒壊の危険があるかは明確には記載していないことがほとんどですが、裁判ではこれを明らかにするように求められます。そして、「震度6強の揺れがあった場合に倒壊の危険がある」という専門家の意見書を証拠として提出されたとしてもそれのみでは立退料なしでは正当事由を認めてくれません。
耐震強度不足であっても補強工事で足りる場合は正当事由としては弱いことになります。しかし、立て替える場合と比較して補強工事の方が費用がかかる場合は経済的に合理性があるとはいえません。