当事者間の事情
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当事者間の事情

1 子が4人以上の場合

 子が4人以上の場合は、各人の年齢に応じた生活費指数を用い算定する。

 

東京家庭裁判所 昭和54年(家)第1934号、昭和54年(家)第1935号、昭和54年(家)第1936号、昭和54年(家)第1937号 扶養申立事件「成年に達するまで一人につき一か月金一〇、〇〇〇円ずつの支払を命ずる執行力ある債務名義(昭和五一年五月一五日の確定審判)を得ているところ、同確定審判は、本件と申立人を異にするが、その給付を命ずる範囲において実質的に申立人らの扶養の目的の手段としての機能を果たしているのであるから、本件においては上記確定審判により形成された養育料の金額を超える部分について相手方の申立人らに対する扶養義務を形成するのが相当である。」

 

2 夫が子を監護している場合

 夫側で暮らす子がいる場合、生活費指数を用いた方法により算定する。

 

大阪家庭裁判所 昭和41年(家)第1208号 婚姻費用分担申立事件 昭和42年1月14日「そこで、その金額について按するに、相手方は上記のとおり、株式会社○○商会の代表取締役をしており、相当な給与所得、配当所得、その他の収入を有し、その居住地であつた八尾市において、昭和四〇年度に確定された総所得額は、四一四万九八九三円となつており、翌昭和四一年度の市、府民税として二九万四〇〇〇円を賦課されているものである。
  申立人は昭和四〇年九月一一日より、京都市北区○○○○町一五の二六の実父本多吾郎方の住居に両親と同居して生活しており、月額二万円の生活費を請求している。
  総理府統計局「昭和三八年家計調査年報」の勤労者世帯の年平均一カ月間の支出額(昭和三八年全都市)によると、三人世帯では五万五三九五円であり、これを消費者物価指数の推移により昭和四〇年度の平均月さ額を推算すると約六万円となり、更にこれを財団法人労働科学研究所方式「総合消費単位(都市)」によつて、申立人に割当てられるべき額は(相手方の仕事を中等作業とみて)
  60,000円×(105+80+40分の80)≒2万1333円約二万一三三三円となる。
 上記算出の基準は一般勤労者世帯の平均家計費であり、相手方の収入或は社会的地位は、はるかにこの水準を上廻るものであることは明らかであつて、申立の趣旨である月額二万円の費用は全額これを認めるのが相当である。尚、申立人は当年二八歳で健康でもあり、勤労能力は認められるけれど、現在未だ相手方の妻たる身分を有し、自ずからその就くべき職種は限定されるところ、今日特別な職業的技能を持たぬ婚姻中の女性の適職を求めることは非常に困難な社会の現状、そして相手方の社会的地位、収入、資産等相対的関係からみて、現に実収入を得ていない申立人に対し、婚姻継続中にまでその勤労能力を問いこれを推算して相手方の負担額から控除すべきは適当でない。」

 

3 共同監護の場合

 面会交流が柔軟に実施されており、いわゆる共同監護に近い形態の事案においては、生活費指数や監護期間での割り付けを行う。

 

広島高等裁判所岡山支部 平成22年(ラ)第29号 婚姻費用分担審判に対する即時抗告事件 平成23年2月10日「子らが毎週一定期間義務者のもとで生活しており,当該期間中の子らの食費,被服費,おもちゃ代を義務者が負担しているなど判示の事実関係の下においては,標準的算定方式で算出される金額から,義務者の負担する費用相当額を控除して婚姻費用を算定するのが相当である。」

 

4 子と面会交流できない、若しくは関係が良好でない場合

 夫と子との関係が感情的対立等で悪化した場合や夫が子と面会交流できない場合でも、扶養義務は免れない。

 

大阪高等裁判所 平成2年(ラ)第124号 扶養申立認容審判に対する即時抗告申立事件 平成2年8月7日「Ⅱ 当裁判所の判断
 1 抗告人らと相手方との身分関係,生活状況等に関する原審判の事実の認定(原審判書の理由Ⅱの1)は,記録に照らし,相当として是認することができる。
 2 しかしながら,原審判の抗告人らについての相手方の扶養義務の有無及びその支払うべき金額に関する判断は,以下の諸点において不当であって,これを是認することができない。
 (1)原審判は,抗告人らが,父である相手方に対する愛情を欠き,相手方との交流を望まない状態となっていることを重視し,扶養義務者である相手方の資力(収入および資産等)と同じく扶養義務者てある抗告人らの母秋川豊子の資力(収入および資産等)とを対比して検討することなく,抗告人らの扶養料について,相手方においてその5割を負担すべきであると判断する。
  なるほど,一般に,扶養の程度または方法を定めるについて,扶養権利者と扶養義務者との間の生活関係とそれらによって形成された両者間の愛憎や信頼の状況を,民法879条所定の「その他一切の事情」の一つとして考慮することがあながち不当であるとはいえないとしても,本件のような未成熟子の扶養の程度を定めるについて,この点を重要な要素として考慮することが相当であるとは到底いいがたく,何よりもまず,扶養義務者である相手方の資力と,同じく扶養義務者である豊子の資力とを対比して検討し,これを基礎として,抗告人らの扶養料中,相手方において負担すべき割合を認定判断すべきものといわなければならない。
(2)また,原審判は,豊子において払戻しを受けた抗告人芳子名義の貸付信託等相当額206万3156円および抗告人信子名義の貸付信託等相当額169万9248円を,相手方が負担すべき抗告人らの扶養料の支払にそれぞれ充てるのが相当であるとし,相手方において抗告人らに支払うべき扶養料の金額の計算上,上記各金額をそれぞれ控除しているところであるが,原審判も認定したとおり,豊子において払戻しを受けた抗告人ら名義の貸付信託や金銭信託相当額は,そのまま清水トヨ子(すなわち,豊子)名義の銀行口座に預け入れられており,これらが抗告人らの扶養のために費消された事実は認められないのであるから,相手方,豊子および抗告人ら間において,上記各金額を,相手方の負担すべき抗告人らの扶養料の支払にそれぞれ充てるべき旨の明示または黙示の合意が成立した等の特段の事情が認められない限り,当然に,上記各金額を,相手方が負担すべき抗告人らの扶養料の支払にそれぞれ充てられたものとし,相手方において現実に支払うべき扶養料の金額の計算上これをそれぞれ控除することは不当というべきである(なお,仮に,上記特段の事情が認められる場合においても,原則として,抗告人の負担割合に応じて上記各金額の一部を,相手方が負担すべき抗告人らの扶養料の金額からそれぞれ控除すべきものであって,特段の事情のない限り,上記各金額の全額を控除することが相当でないことはいうまでもない。)。
 (3)さらに,原審判は,相手方が抗告人らの扶養料を負担すべき終期を,相手方らの高等学校卒業(もしくは卒業予定)時とするが,原審判も指摘するように,未成熟子の扶養の本質は,いわゆる生活保持義務として,扶養義務者である親が扶養権利者である子について自己のそれと同一の生活程度を保持すべき義務であるところ,抗告人らの父である相手方は医師として,母である豊子は薬剤師として,それぞれ大学の医学部や薬学部を卒業して社会生活を営んでいる者であり,現に,抗告人芳子も昭和61年4月に薬科大学に進学していること等,抗告人らが生育してきた家庭の経済的,教育的水準に照らせば,抗告人らが4年制大学を卒業すべき年齢時まで(ただし,抗告人信子については,高等学校卒業後就職した場合は高等学校を卒業すべき年齢時まで,短期大学に進学した場合は短期大学を卒業すべき年齢時まで),いまだ未成熟子の段階にあるものとして,相手方において抗告人らの扶養料を負担し,これを支払うべきものとするのが相当である。」

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