過去の分の婚姻費用・養育費
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過去の分の婚姻費用・養育費

1 婚姻費用の始期が争点となる場合(婚姻費用の遡及請求が過去5年分に限って認められた例)

 1 調停・審判では申立時からの婚姻費用を認める例が多い
 2 財産分与において未払婚姻費用の清算を求める場合、5年を限度として遡及を認める場合がある。また全額ではなく一部のみ認める例も多いです。

 

東京高等裁判所 昭和42年(ラ)第3号 婚姻費用分担審判に対する即時抗告事件 昭和42年9月12日「1、家裁の審判における婚姻費用分担の始期については、審判申立以前でも分担を必要とした事情の認められるかぎり、分担について紛争を生じた当初に遡つてその分担関係を定めうるものと解すべきである。
2、夫の妻に対する婚姻費用分担額を算定するにあたり、夫の母に対する生活費支給額を控除しなかつた原審判を不相当とした事例
3、婚姻費用分担額算定にあたり、いわゆる労研方式を採用することにつきその是否を判断した事例」

 

最高裁判所第3小法廷 昭和53年(オ)第706号 離婚等請求本訴、同反訴事件 昭和53年11月14日「離婚訴訟において裁判所が財産分与の額及び方法を定めるについては当事者双方の一切の事情を考慮すべきものであることは民法七七一条、七六八条三項の規定上明らかであるところ、婚姻継続中における過去の婚姻費用の分担の態様は右事情のひとつにほかならないから、裁判所は、当事者の一方が過当に負担した婚姻費用の清算のための給付をも含めて財産分与の額及び方法を定めることができるものと解するのが、相当である。」

 

2 婚姻費用の始期が争点となる場合(始期が調停申し立て時とされた例)

 婚姻費用分担の始期については、調停申し立て時からとする審判例が多いです。

 

大阪家庭裁判所 昭和47年(家)第1189号 婚姻費用分担事件 昭和48年6月30日「そうだとすれば、婚姻破綻の責任が当事者双方にある以上、婚姻が破綻しているからといつて相手方が全面的に婚姻費用分担義務を免れるということは許されず、一方、申立人については自己にも責任がある以上、相手方の収入に応じて相手方と同程度の生活を維持するに足りる婚姻費用を請求することは許容されず、その責任の程度に応Uて分担額の範囲を削減されることになる。というわけは、婚姻費用分担は、本来、夫婦共同生活体を基礎とし、その生活は相互に協力扶助義務をつくすことによつて営まれるべきものとされており、正当な事由もなくこれらの義務の履行に欠けるところがあれば、それに応じた内容の婚姻費用分担額とならざるをえず、義務履行に欠ける者とそうでない者とを同等に扱うことは、公平に反する結果となるからである。」

 

東京高等裁判所 昭和60年(ラ)第607号 離婚費用分担申立事件 昭和60年12月26日「婚姻費用分担義務の始期は権利者が義務者に請求をした時点だとして、調停申立て受理の月から義務を課した事例」

 

横浜家庭裁判所 平成23年(家)第2957号 婚姻費用分担申立事件 平成24年5月28日「出産育児一時金は,少子化対策の一環等として支給される公的補助金であり,それが支給される以上,出産費用はまずそれによって賄われるべきであるから,相手方が出産のための費用として申立人に交付した金員から,出産育児一時金では不足する出産費用のうち相手方が負担すべき金員を控除した金額は,婚姻費用の前払とみなすのが相当である。」

 

3 婚姻費用の始期が争点となる場合(子の出生時にさかのぼった養育費の請求に対し、調停申し立て時からの未払い分に限って認められた例)

 養育費請求の始期については、請求時とする例が多くみられるが、事情により遡及して認める場合もあります。

 

最高裁判所第1小法廷 平成7年(オ)第1933号 離婚等請求事件 平成9年4月10日「離婚の訴えにおいて、別居後単独で子の監護に当たっている当事者から他方の当事者に対し、別居後離婚までの期間における子の監護費用の支払を求める旨の申立てがあった場合には、裁判所は、離婚請求を認容するに際し、民法七七一条、七六六条一項を類推適用し、人事訴訟手続法一五条一項により、右申立てに係る子の監護費用の支払を命ずることができるものと解するのが相当である。」

 

大阪高等裁判所 平成16年(ラ)第83号 子の監護に関する処分(養育費請求)審判に対する即時抗告事件 平成16年5月19日「前記第1の1ないし4の事実経過に照らせば,未成年者の養育費については,その出生時に遡って相手方の分担額を定めるのが相当である。
   原審判は,抗告人が養育費の支払を求めた平成14年6月を分担の始期としているが,未成年者の認知審判確定前に,抗告人が相手方に未成年者の養育費の支払を求める法律上の根拠はなかったのであるから,上記請求時をもって分担の始期とすることに合理的な根拠があるとは考えられない。本件のように,幼児について認知審判が確定し,その確定の直後にその養育費分担調停の申立てがされた場合には,民法784条の認知の遡及効の規定に従い,認知された幼児の出生時に遡って分担額を定めるのが相当である。」

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