【最新判例】【相続】東京高判平成27年8月27日
1 公正証書遺言につき、遺言者が公証人及び証人に対して遺言内容を具体的に語ることをしなかったもので、口授の要件を備えていなかったとして無効であるとした事例
2 公正証書遺言の前に作成された自筆証書遺言につき、遺言者が遺言の意思を失っていたとして、無効であるとした事例
「被相続人は、公証役場訪問前には高度の意識障害によりコミュニケーションが困難な状態になることがあり、公証役場訪問後には救急外来を受診し意識障害を生じ、肝性昏睡と診断されるなど、意識状態や身体状態には一定の変動があり、具体的な応答をしうる程度の意識状態や身体状況にあったとみるには相当の疑義が存すること、被相続人は公証人に対し、『Y1に全部』『Y2にも』と述べる以外には何も言わなかった」
「自筆証書遺言についても、自筆証書遺言作成の過程やその後公正証書遺言作成のために公証役場を訪問した経緯などから、遺言意思が否定されている。自筆証書遺言のために複数書き直しがされ、結局持ち帰りも保管等を託すこともしていないのは、この時作成された物を最終意思とすることをしなかったと言うことができ、遺言意思を認めなかった判断は相当と言えよう」